「今日集まってもらったのは他でもない―――忌憚なく意見を聞かせてくれたまえ、無能野郎ども」
クラブハウスの壁にチョークででかでかと書かれた文字―――『第一回! デイバン進攻★大反省会〜どうしてイタ豚どもに勝てないのか本気出して考えてみた〜』を平手で叩いて、デイヴィッドは目の前の芝生に胡坐をかく同僚たちを見回した。
昼下がりのロイヤルフォレストパークには、至ってのどかな青空と、見渡す限りのグリーンが広がっている。あのクソったれた潮の匂いもしなければ、胸の悪くなるイタリア語も聞こえない。寝転がって昼寝でもしたい気分だ―――隣にいるのがこの阿呆どもでさえなければ。
「ちょっといいか」
「くだらないことなら貴様のところの予算は減らす。というかお前の食費を減らす。減量しろデブ」
「まだ何にも言ってねえだろうが……聞きてえのはよ、なんでこの面子なんだってハナシだ」
この面子、と示された役立たず二名を見下ろし、溜息でもつきたい気分になる。
「俺だってハゲとクレイジー以外がいるのならお前らなんか呼ばなかったさ。残念ながらここにいる幹部級はお前たちだけだったんでな。マックスの牛野郎、到着早々死にやがって」
「わかったよ若ハゲ。解説ありがとう」
ハゲかつデブという二重苦を背負った男―――ホーナスが苦々しげに呻く。黙れ俺はハゲてない。髪の薄い男はこれだから困る。
「ナァ、ハゲ共」
「どうしたクレイジー。生き別れた理性でも見つけたか」
「何年か前にレイプしてから会ってねえなあ。オメーら、こっち来る前スゲエ自信満々じゃなかったっけか? 馴染みのやつがいるとかで」
ぴくり―――とこめかみが引き攣る。
人の神経を逆撫でするために生まれてきたようなツラで、バクシーはわざとらしく耳垢の掃除など始めた。