「ジャン―――」
 血まみれの腹に手が回され、仰向けだった体が四つん這いにさせられる。寝巻きをひき下ろした指先がすぐに後ろをまさぐり、俺は身をこわばらせた。
「ん、な、ジュリオ、お前、……ッぅ……」
 内側が無理矢理切り開かれる。その異物感と恐怖に、上半身が沈んだ。毛布にしがみついて耐える。
「ふ……っ、……う―――やっぱり、無理……な、あっ……!」
 力の入らない体が勝手に指先を受け入れるのが怖い。この状態で、荒く息を吐くだけの、いつもの気遣いを持たないジュリオを受け止めたら、俺はバラバラになってしまうんじゃないだろうか。
「だ、めだ、ジュリオ、も、やめ……っ」
「ジャン、ジャンさん……どうして、ですか……俺が一緒じゃ、だめ、ですか……」
「ち、が……んあッ、あ!」
 突然感じるところを押されて、悲鳴を上げる。熱で過敏になっていた神経が一瞬で全身に快感を伝え、俺は震えた。
「わかって、ください……あなたが、ここにいるって、俺は―――」
「や! 押す、なっ……ひ、っ!」
「気持ちよく、しますから―――」
「ん、や、やだ……っ! 放し、ジュリオ、放せ、―――ん!」
 圧迫感が増す。指が増やされたのかもしれない。
 受け入れたいと思う。食い尽くされたら離れなくて済むのにと思う。ただ、体に走る感覚だけが強くなりすぎていて怖い。
 指を突っ込んだまま動きが止まって、ほっとしかけたが、ジュリオが自分を扱いているだけだということに気づいた。
「だ、めだ、って……っ」
 引き抜かれた指の代わりに硬くぬめる感触が押し当てられ、引けた腰を、強い力で固定される。
「一つだ、って、ジャンさんは、言った―――俺のこと、遠ざけようと……置いてこうと、しないで―――」
 ―――今、なんて。
 置いていく、ならわかる。遠ざける、って、どういう意味だ―――?
 よぎった疑問は、強烈な衝撃にかき消された。
「いッ……あ、あ―――!」
 躊躇なく突き刺され、体中がかっと燃え上がる。腹から勝手に声が押し出された。
「あ、ついっ……ジャンさんの、なか、熱い―――」
「っだ、め、熱い、俺もっ……ぬ、抜いて、ジュリオ―――ふあ、あ、ぅっ!」